Inagaquilala

めぐりあいのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

めぐりあい(1968年製作の映画)
3.0
シネマヴェーラ渋谷の「歌手デビュー50周年記念 映画特集 荒木一郎の世界」で観賞。といっても、この映画に荒木一郎は出演していない。冒頭に流れる主題歌(作詞:荒木一郎、作曲:武満徹)を歌っているだけだ。1968年の作品で、当時、荒木は「空に星があるように」、「今夜は踊ろう」、「いとしのマックス」の連続ヒットで華々しく活躍していた。映画音楽も担当していた武満徹からのリクエストで荒木が歌うことになったらしい。

ということで、あまり映画に関して書くことも少ないのだが、主演の黒沢年男と酒井和歌子は、この次の年、東宝青春映画の異色作とも言える傑作「俺たちの荒野」(出目昌伸監督)に出演するのだが、それとはまったくテイストの異なるかなり牧歌的な青春映画となっている。

この作品もなぜかフィルムの保存状態が悪く、カラー作品であるのに全編セピア色のモノクロ作品のように見えるし、フィルムに傷がかなりあり画面に「雨」が頻繁に降る。その「雨」の中で繰り広げられる、雨のダンプカーの荷台でのラブシーンは、この作品の白眉。よくこんなシチュエーションでのラブシーンを考えたものだなと感心した。

基本的には黒沢年男と酒井和歌子のすれ違いが、このドラマの根幹なのだが、恋愛映画の常として男女のそれぞれの主観的描写に頼っているため、時を経たいまやや理解し難い部分もある。例えばライバルの存在を置くなど、登場人物たちを絡ませせながらドラマづくりをしていれば、それは避けられたかもしれない。

それにしても黒沢年男に自動車工場の工員役は似合わない。酒井和歌子の事務員役はなかなかハマっていた。黒沢年男の実弟の黒沢博(のちにGSの寺内タケシとバニーズを経てヒロシ&キーボー)も弟役で出演していた。
Inagaquilala

Inagaquilala