ほーりー

スタア誕生のほーりーのレビュー・感想・評価

スタア誕生(1937年製作の映画)
3.8
ハリウッドの裏幕を描く「スタア誕生」は過去3回映画が作られていて、その中でもジュディ・ガーランド主演の1954年版が特に知られているが、今回取り上げるのはオリジナルである1937年版。

もっとも本作のストーリーの原型はもっと遡って、1932年に作られた「栄光のハリウッド」だという(ちなみに監督は54年版を手掛けたジョージ・キューカー)。

主演は「第七天国」のジャネット・ゲイナーと「ジキル博士とハイド氏」のフレドリック・マーチ。

女優の卵であるヴィッキーが人気俳優ノーマン・メインに見初められたことがきっかけで、徐々にスターダムを駆け上がっていく。
恋に落ちた二人はすぐに結婚するが、やがて彼の方は飲酒癖がたたり、急激に落ちぶれていく。

……とあらすじを書けば、すぐにミシェル・アザナヴィシウスの「アーティスト」が思い出すが、元ネタはこの作品である。

ヴィッキーが出世する過程があっさりしているのとノーマンの凋落ぶりが少しストレートすぎる点が難だが、その後、2回リメイクされるだけあって、ストーリーがよく出来ている。

脚本家の猪俣勝人さんの本に書いてあったが、昔、脚本部の先輩(確か野田高悟さんだったかな?)から、優れた脚本は「お寺の釣り鐘」のようでなければいけないと教わったそうな。

釣り鐘は一つ一つのイボがちゃんと均等に並んでおり鐘のヘソを撞くとそのイボが互いに共鳴して美しい音が鳴るのであって、脚本も一つ一つ独立したエピソードがうまく共鳴するにはこのヘソにあたるドラマのクライマックスが良くないとダメということらしい。

そして、そのお手本のような作品として猪俣氏が挙げていたのが、ずばり本作でありました。

最後のシーン、ヴィッキーがファンに向けて言う台詞は、これだけだと一見何の変哲もない言葉なのだけど、それまで描かれてきた各エピソードがこの台詞によって見事に共鳴しているように感じた。

■映画 DATA==========================
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
脚本:ロバート・カーソン/ドロシー・パーカー/アラン・キャンベル
製作:デヴィッド・O・セルズニック
音楽:マックス・スタイナー
撮影:W・ハワード・グリーン
公開:1937年4月20日(米)/1939年4月(日)