YasujiOshiba

2001年宇宙の旅 新世紀特別版のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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ユナイテッド・シネマとしまえん、IMAX にて鑑賞。

 画面は大きい。デジタル上映だから、グリッドが見えてしまうのは仕方ないのかな。でも音はよかった。静音から爆音まで幅の広さ。音圧とスピード感。あれは半端ない。家では無理。
 フィルムが映し出される前に、ジェルジ・リゲティの「アトモスフェール」が流れるのだけど、ここから音の良さが予感され、オープニングのツァラトゥストラはもう圧倒的。これだけで来てよかったと思ったけど、それだけじゃない。
 ストラウスの「美しく青きドナウ」のコントラバスがビンビンに響いてくれば思わず無重量ステップを踏みたくなるし、月面のモノリスの発するビープ音はわかっていてもその音圧を耳が受けた途端に体が飛び上がってしまった。
 それから、猿たちが、月面のアメリカ人たちが(当然ソビエトには内緒にしてたんだよな)、そしてボーマン船長が、あのモノリスとの出会うシーンで流れるリゲティの「レクイエム」が、高温から低音まで、みごとに腹を震わせてくれちゃうんだから、たまりません。
 一緒に見た2人の娘、猿たちのシーンでは、となりでゴソゴソとポップコーンをつまむ。画面からは肉を貪る音。ぼくは、妙ちくりんなステレオ効果を感じていたのだけど、そのうちひとりはディスカバリー号のボーマン船長の呼吸音が聞こえるなかでスヤスヤと寝息を立て始める。もうひとりはウトウトしながらも最後までみて一言、これは洗脳映画だ。CGのない時代の特殊効果は、なるほど催眠効果と洗脳効果があるというわけだ。
 それにしても、ぼくが中学のころ、岡山で、弁当持って朝から晩まで映画館にこもること数日、なんてことをやった思い出の映画を、東京で、こういう形でまた見ることができること、それじたいがオデッセイアのようでもあるなと感慨にふける、10月の日曜日でございました、はい。
YasujiOshiba

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