Kanta

2001年宇宙の旅 新世紀特別版のKantaのレビュー・感想・評価

4.1
※2018.11月の新宿TOHO IMAX上映

美術的な美しさに圧倒された(IMAXのせいもある?)。芸術的価値が高いんだなあ。
時代特有の撮影技法を今見るからこそ尊く美しく思うという、芸術遺産的な色眼鏡は取り除くことが出来ない。
ここに暗喩されるのは宇宙・生命・科学・法則といった、そもそも抽象的かつ強固なイメージを有している、射程の広いキーワード。
輪郭の曖昧なもののエッジを立たせるのは不可能だし(それは放送大学とかの役目)、逆に曖昧に描く事で真理を求めるのが映画の本質だろ〜?って言ってるみたいな。

モノリスって何だったのか。
これが「技術」の記号だとする。モノリスと出会い、猿だった祖先は道具を得て、道具は宇宙船になる。
では、人間が再びモノリスに出会う時に聞いたノイズは?(このシーンはIMAXの音響設備の威力発揮って感じで最高だった)
ではそれが、いわゆるシンギュラリティに到達したという人類への警告音だったとする。
SFの定石というか、今や社会的に当然の議論となっている人工知能の暴走は、警告を無視した人類が直面した問題。シャットダウンという実にアナログな方法で人工知能に打ち勝った人間は、その後宇宙を放浪し例のラストシーンへと向かう。
この先は、とにかく未知だが確かに存在する広大で巨大な概念をただただ映像化しただけのような、何だかよくわからないけど美しいシーン。
最後にモノリス(技術)は人間と対面し、人間が持つ有限の時間を提示されたうえで、その根源である生命そのもの(と思しき何か)と対峙して、この映画は終わる。

…なにこれ?っていう。笑
けど、この感想でいいんでしょうきっと。霧を掴むようにもがき、頭痛がするほど悩み、美しい映像に感嘆する。ただそれだけでいいんでしょうきっと。
Kanta

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