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リンカーン弁護士の一人旅のレビュー・感想・評価

リンカーン弁護士(2011年製作の映画)
4.0
ブラッド・ファーマン監督作。

殺人未遂容疑で起訴された資産家御曹司を担当する敏腕弁護士の葛藤と奮闘を描いた法廷サスペンス。

アメリカの探偵小説家:マイクル・コナリーが2005年に発表した同名小説の映画化で、ロサンゼルスで愛車リンカーンを事務所代わりにして精力的に活動している敏腕弁護士:ミックが、娼婦の殺人未遂容疑で起訴された資産家の息子の弁護を担当することになるが、調査を進めてゆく中でミック自身の過去にも係る意外な真相が暴かれていき…という先の読めない法廷サスペンスで、弁護人と依頼人の間で交わされた情報は他者に開示できない―“秘匿特権”が物語の重要な鍵となっています。

主演は今や名優化したマシュー・マコノヒー。マコノヒーと云えば1996年に製作された傑作法廷劇『評決のとき』における人種差別を糾弾する新米弁護士役で一躍注目を集めた俳優ですが、あれから15年が経過、本作では汚い手段も厭わない欲深くアグレッシブな敏腕弁護士を熱演しています。今回は完全な善でも悪でもない微妙な立ち位置の弁護士を演じていて、『評決のとき』の若さゆえの未熟さや法と正義に対する熱意と信念に溢れた新米弁護士役とは対照的に“ダーティ”な敏腕弁護士を妙演、その特異な存在感は他の役者を圧倒しています。
また、ミックの元妻にマリサ・トメイ、調査に協力する私立探偵にウィリアム・H・メイシー、疑惑の御曹司にライアン・フィリップ、その他ジョン・レグイザモ、マイケル・ペーニャ、ボブ・ガントン、ジョシュ・ルーカス、ブライアン・クランストンといった実力派の俳優が脇を固めています。

法廷劇の醍醐味―知的面白味&逆転の切り札が清々しく提示されるスリリングな法廷サスペンスで、混迷と危険を極めてゆく裁判に敵の裏をかく仕掛けで一発勝負に出る主人公の巧みな戦略に瞠目させられます。
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