所謂、娯楽映画的なプロットではなく、深部に薄暗い、ぼんやりとした苦痛や、歪に、繋がることのない個人たちと、当時の「左翼思想」に向かった人間たちの閉塞感が生んだ作品。
戦後世代の掲げる「自由」というものは、戦後の民主主義という煌びやかな理想に対して、戦前に押し付けられてきた幻想の反動として解放ではなく、捻れていった弊害があるのだと思う。
現代を生きる僕らとはまた違う社会との自分とか、他人との距離感とか、そういう意味で心と身体のバランスが今以上に保てない。
世界を知るための情報であったり、幻想であったりが強くあるからこそ、この時代には、この時代の絶望的な断絶があるのだなぁと思った。
こんな時代でも、コミュニケーションという意味では現代の方が多少なりとも分かり合えてると思ったり。