NORA

レインマンのNORAのレビュー・感想・評価

レインマン(1988年製作の映画)
4.3
感涙必至のヒューマンドラマみたいな扱いを受けることが多いが、実は結構コメディ寄りであり、そのへんのバランス感覚がこの映画の良いところ。ダスティン・ホフマンとトム・クルーズのやりとりが軽妙なボケとツッコミを発生させ、思わず吹き出すシーンも多い(パンツ!パンツ!と叫ぶトムは絶品)。サヴァン症候群の患者という難しい役どころをこなしたホフマンの素晴らしさは言うまでもないとして、やはり本作の白眉は、まだアクション俳優としてならす以前の、若きトム・クルーズの演技だろう。自己中心的でキザでかっこつけ、そうした嫌な部分はそれほど変わっていなくとも、眼差しひとつで彼が人間として一皮剥けたこと、兄に対する親愛の情を表現できる凄味。彼が単なるアイドル俳優ではないことがありありと分かる。巧者2人の見事な仕事を際立たせる、抑えた演出も心地良い。
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