福福吉吉

レインマンの福福吉吉のレビュー・感想・評価

レインマン(1988年製作の映画)
2.5
自動車ディーラーのチャーリー(トム・クルーズ)は、幼い頃から憎んでいた父の訃報を受け葬儀に向かう。遺産目的のチャーリーだったが、遺産300万ドルは長年疎遠だった自閉症(※)の兄・レイモンド(ダスティン・ホフマン)に渡ることを知る。そこでチャーリーはレイモンドを施設から連れ出してしまう。

※現在では「サヴァン症候群」が正しいですが、本作の中では「自閉症」と扱われているので、このレビューでは「自閉症」とします。

チャーリーは父の遺産目当てに自閉症のレイモンドを拉致するのだが、あまりにも自分の言い分ばかりを通そうとするチャーリーに嫌悪感は早々から最大になりました。これは、精神障害という分野自体が社会的に知られていない時代の作品ということもあり、チャーリーが自分の常識をレイモンドに当てはめて行動するため、現在の観ている側からすると非常識極まりないように感じてしまいます。

チャーリーとレイモンドの旅が映画の大部分を占めており、その中でもレイモンドの行動にチャーリーが短気を起こすシーンが長く、観ていてとても気分が悪くなりました。レイモンドは病院で十年以上の長い間、行い続けた決まり事を急に変えられるわけもなく、チャーリーに対する怒りが沸々と溜まっていきました。

旅が進むにつれて、チャーリーの心境が変化していくのですが、正直、それはチャーリーの側の勝手な心境であり、レイモンドに対するそれまでの行いをチャラにできるほど、チャーリーに感情移入は一切しませんでした。レイモンドを利用して博打で金儲けて、心にゆとりができてから「なんかレイモンド良い奴だな」って言われても、このクソ野郎としか思わなかった。

他の方のレビューを見ると高評価が多いので、私の心がすさんでいるのかもしれません。でも、私には心に伝わってくるものが感じられなかった。
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