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映画 闇金ウシジマくんのハルのレビュー・感想・評価

映画 闇金ウシジマくん(2012年製作の映画)
3.5
原作の噂はよく聞いていたが、未読で鑑賞。

トゴ=10日で5割。
典型的なヤミ金ですね…
もしかしたら昔はあったのかもしれないけど、滅茶苦茶過ぎて逆に面白い。
元金1万円だとしても、100日放置で40万弱。
10万円なら400万(笑)

ウシジマを一言で表すと、冷徹で感情のない取り立てモンスター。
山田孝之ならではの役作りで、能面から漂う威圧感が怖すぎる。
ただ、彼が何故こうなったのかは不明瞭。
本作だけではその背景や“カウカウファイナンス”の全容は掴みきれなかった。
特異な物語へ入り込むには大事なポイントだと思うし、ドラマ版から見ないとかも。

一方で、金を借りる側でもあり最低のピエロを演じた林遣都の滑稽さはツボになるくらいハマっていた。
唯一の自慢は電話の登録件数が3,000件あること!!(なんの意味があるんだろう)
可哀想なくらいに何を話しても薄っぺらく、人望もない。
電話を切ったあとに電話口へ向けて放つ捨て台詞が彼の必殺技。
逃げる事と虚栄心を満たすことに命を懸ける、哀れ過ぎる男をとことん突き詰めていた。

さらに、高卒無職でチャランポランの人類代表みたいな役柄を演じた大島優子。
演じた大海は、そこら辺にいそうでありがちな駄目女。
計画性なく生きてきたテンプレートのような人生なんだけど、家庭の事情も絡んでいてちょっと可愛そうでもあった。お母さんから「3Pしてほしい」とか言われたら、まともにやってられなくなっちゃうよね…

道を外れて知り合い、真っ当に生きる事を放棄した二人が仲良くなっていくシーンは至極真っ当に思えたし、“類は友を呼ぶ”という言葉の意味を実感。

最後の分かれ道でしっかり自分を見つめ直せた大海(大島優子)と純(林遣都)の対象的な描き方も印象的だったな。
ウシジマの「楽して稼いでた頃と今のあいつじゃ金の重みが違う」って言葉がズシリと響く。

『闇金ウシジマくん』は徹底的に“金と借金”へフォーカスした異色作。
取り立て時の描写は凄まじい迫力なんだけど、全体通して見るとウシジマくんのインパクトがまだまだ弱かった。
劇場版だけでも4作あるようだし、次作に期待。
なお、途中で気付いたけど林遣都と大島優子の二人は後に結婚するんだよね、そう思うと何だか感慨深い作品にも思えてしまった。
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