ベンジャミンサムナー

八つ墓村のベンジャミンサムナーのレビュー・感想・評価

八つ墓村(1977年製作の映画)
3.0
 「祟りじゃ〜!」

 推理じゃなくてオカルトなオチにするんだったらもっと短くても良いじゃないかな。
 洞窟内をウロつくシーンは流石に冗長。

 冒頭からショーケン演じる寺田辰弥の視点で物語が進行し、小川真由美演じる美也子から八つ墓村の伝承を聴くシーンから、一緒に話を聴いてた渥美清演じる金田一視点のシーンへ初めて移行するスムーズな流れは良かったのに。

 そんなことよりも何よりも、本作の白眉は山崎努演じる多治見要蔵が村人32人を殺しまくるシーンである。

 頭に二本の懐中電灯を差した白塗りの顔。
右手に日本刀、左手に猟銃。
肩にかけたガンベルト。
 たった数分の出番しかないのがもったいないぐらいキャラが立っている。
 桜吹雪の中を走ってくるカットは芥川也寸志の音楽も相まって神々しささえ感じる。

 赤ん坊も刀で刺し殺し、女の人を井戸に突き落とした上で猟銃を撃ち込む容赦のなさはジェイソンも顔負けである。
 映画の中盤でこんなの観せられたら事件の真相なんてどうでも良くなってしまう(笑)

 松竹はこの多治見要蔵を『13日の金曜日』や『エルム街の悪夢』のようにシリーズ化すべきだったのでは?