leyla

ピアニストのleylaのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.9
ユペール様がド変態を怪演しております。
可哀想な(痛い)女性を描いた作品の中でもトップを競うと思われる。

寸分たりとも心に休息を与えてくれないヒリヒリ感、不快なのでもう観るのをやめたいと思いつつも最後まで観てしまう吸引力。

ともすればド変態熟女AVになりかねない作品を格調高く仕上げているところがまた、余計に変態。ハネケのセンスを感じる。これはユペール様あっての作品だと思いました。

超過干渉な母親から束縛され育った主人公エリカ(ユペール)は、それでも母親と離れない。依存しているのがエリカの方なのは、DVの関係性にも似ている。父親も精神を病んだようだから、この母親の毒性はかなり強い。観ていて非情にしんどい作品です。

「私の性癖、誰か受け入れて〜!愛して〜!」というエリカの心の悲鳴が聞こえました。

ユペールの色気を打ち消した無表情な演技が圧巻。ラストの一瞬の表情も強烈です。

シューベルトの狂気の話がこのストーリーとリンクしている奥深さにゾクッとする。

でも、今作に原作があったことに、ハネケの変態性を少し打ち消すようで何故かホッとしました。

不快だけど深いな〜
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