tKo

ピアニストのtKoのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.7
過干渉で支配的な母親からピアノだけを与えられ常に無表情で厳格で冷徹な中年ピアノ教師エリカが年下の美形男子ワルターに想いを寄せられる展開は普通ならハートウォーミングなラヴ・ロマンス/メロドラマになりそうな所をまるでラース・フォン・トリアーの如く歪んだ性愛へと変容していく様はさすがのハネケ監督。使用済ティッシュを嗅いだりカーセックス中のカップルの横で放尿したりと変態的な展開が続く中、ワルターとの出会いで彼女が自らの欲望を表出し始めるがミスコミュニケーションにより負のループへと墜ちていく。恐らく一度も性経験が無い彼女は妄想でしか事を進めれず彼はそれが彼女の心からの望みだと受け入れるが、妄想と現実は乖離しショックを受ける。特に手紙を読ませる中盤からラストにかけてのイザベル・ユペール演じるエリカの心情の変化がとにかく痛々しくて悲しい。ただ、これは変態映画ではなく40を手前に性経験のない女性の純粋すぎるが故の歪なラヴストーリーなんだと思った。
tKo

tKo