ねぎおSTOPWAR

ピアニストのねぎおSTOPWARのレビュー・感想・評価

ピアニスト(2001年製作の映画)
3.0
第54回カンヌの審査員賞。
主役は39歳のエリカ。いわゆる芸大のピアノ教授。家庭には心身ともに娘を支配する母親。それは冒頭のシーンで表現。
~39歳の娘の帰りの時間からファッションまで文句をつけ、髪を引っ張り合う二人。あげく泣く母と仲直りまでが表現されている~

その後、母親に恋愛まで封じられていたことを想像させるエピソード。
男性が通うビデオ付きマスターベーションルームに一人で入るエリカ。そしてゴミ箱から精液のついたティッシュを拾い上げ、クンクン匂いながらビデオを凝視する。それはそれは怖い映像です!
ピアノを教える彼女は冷徹な印象で、シューベルトの他人の解釈は許さない。感情の強弱は間のない二極だそうで・・。


そんな日常に波風を立てるのは青年ワルター。エリカにピアノを教えて欲しいとかなり積極的にアプローチ。しかし(我々観客もそうだが)その純粋な気持ちに疑念を持ち、受け入れられないエリカ。キスされてもそれからどうしていいかわからない。そりゃそうだ、おそらく生まれてこのかたエロビデオでしか恋愛~性交渉を学んでいないのだから。

高まるエリカの歪んだ要求にどん引きワルターは帰ってしまう。

その夜まるで初恋にやぶれた少女のように泣き、母にすがるエリカ。

・・そのあとはどうしたって噛み合うはずのない二人の気持ち。

さて、この映画ポイントポイントに長回しのショット。通常の編集点を置き去りにした余韻はこの映画の肝。
そしてラストはどう解釈すれば良いのか・・?
まあフランスらしいというのでしょうか、これ。