千年女優

シンドラーのリストの千年女優のレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦最中、ビジネス成功を狙ってドイツ軍占領するポーランドのクラクフに訪れたドイツ人実業家オスカー・シンドラー。安価を理由にユダヤ人を雇って有能なユダヤ人会計士に経営を任せる彼が、新たに赴任した強制収容所所長のユダヤ人殺戮を目の当たりにして心を痛めてひとつのリスト作成に取り組む様を描く伝記映画です。

ホロコースト期にドイツ人ながら自社のユダヤ関係者を工場の熟練工だとして阻止した実在の人物を自身もユダヤ系のスティーヴン・スピルバーグが特徴的なモノクロで映画化した作品で、ホロコーストという人類史に残る事態にあって抗う人の強さを描く普遍的感動のある物語と演出が評価されてキャリア初のオスカー監督賞を受賞しました。

映されるホロコーストの凄惨さは言うに及ばずで、これが同じ人の所業かと愕然とし、いっそ悪魔の存在を認めたくなります。そんな中でも英雄シンドラーもまた聖人君子ではない事は一縷の望みで、倫理通じぬ状況にあって人間らしさと正気を保てる証左である彼の存在は、直接救われた人のみならず後世の私達にとっての救いでもあります。
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