KanaiSatoru

シンドラーのリストのKanaiSatoruのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.8
シンドラーのリストを見ました

戦後生まれの日本人である我々世代は、第二次世界大戦のユダヤ人大量虐殺については、知識がないまま育っています
そんな自分にとってこの映画を見ようと思ったきっかけは、単純にスピルバーグが念願の監督賞を受賞した作品を見てみたいと思った、きっかけはそれだけです💦

でも映画を見てそんなきっかけで映画を見始めた自分が少し恥ずかしくなりました🥲

冒頭、訳も分からずにゲットーと言う収容場所に連れていかれるユダヤの人たちをみて意外だったのは、想像した以上に身なりも良く裕福な家庭の人もいたことです
どうも聞くところによるとユダヤの方々は、非常に教育と言うものに力を入れている民族で、そのせいもあって社会的地位の高い人たちが多かったようです

この物語の主人公はオスカーシンドラーと言う1人のドイツ人実業家人物ですが、彼は最初からユダヤの人々を救おうなんて思ってはいませんでした
彼が最初に思っていた事は戦争に興じて金儲けをしようと言うそれだけだったのです
その彼の最初の動機が人間くさくて自分はそこにリアリティーを感じましたね🤨

彼は金儲けを狙って工場運営し、そこでユダヤの方々を働かせようとするのですが、ある日、訳も分からず道すがらユダヤの人々が大量に虐殺される姿を見て衝撃を受けます
ユダヤ人の迫害、大量の虐殺についてはドイツ軍も世界に公言していなかったために、その場の現地にいる人々にしか事実を知らなかったと言うことなのかもしれません
シンドラーはそれを見て人間としての痛みを感じます

そこからシンドラーが工場を運営する中でいかにドイツ軍に睨まれずにユダヤ人を救うかと言う策を練っていきます

ユダヤ人の味方をしていると知られれば、自分も反逆者としてドイツ軍に殺されるのが分かっているので表立ってユダヤ人を助けることができません
だからある日、ユダヤの方が自分たちの両親を工場で働かせてくれと願って訪ねてくるシーンがありますが、そこでもシンドラーは馬鹿なこと言うんじゃないと言って追い返します🥺
(結局その女性の両親を工場で雇うことになるのではありますが)

この映画は残酷なシーンがたくさん出てきます
正直、白黒でなければ見続けることができなかったかもしれません😭

本当に人形のように人を殺し焼き捨てる
本当にそんなことが行われていたのだろうかと、にわかに信じがたいシーンが連続します😰

これはドイツ軍を悪者に描くという意図で作られたものではなく、後世に残すために作られた映画です
ドイツの方々だけでなく、世界中の人々は、この歴史を受け止め、二度とこのようなことが起こらないよう、自ら自分たちを律っしなければならない、そのための映画なんだと思います

最近になってシンドラーのリストがリバイバル上映されたと言う話を聞きました
その時にスピルバーグがこう言っています
1993年に上映された当時よりも実は、今の方が問題が山積みだと
そしてその当時を知らない世代にこそこの映画を見ていただいて世代を超えてこの記憶をつないでもらいたいと
この現代においての人種差別をそのまま放置すれば当時の大量虐殺につながりかねない、そのことを危惧しているとインタビューで答えています

映画の中で1カ所だけ色がつくシーンがありますね赤い洋服を着た少女が逃げ惑うシーンです
どうしてあそこだけ赤にしたのか
ラストシーンを観て、その意味が分かりました🥺

シンドラーがもっと金があればあと10人、救えたのに、この車を売ればあと1人救えたかもしれないと、むせび泣くシーンがあります
その時に浮かべたのがあの赤い洋服の少女のことです

きっとシンドラーも、あの少女を救うことができたと自分を責めていたのだと思います💦

様々な感想が寄せられる映画だと思いますが、こうやって人々に何かを問いかけることができるのが、映画の素晴らしさだと思いました

映画に携わる人たちのことを改めて尊敬し、95点を思う今日このごろです👍
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