その昔、ユダヤ人迫害の頃、工場経営で成功した富豪シンドラーがそのお金を使いユダヤ人1100人を救ったという実話を基に作られた映画。
最初見ている時はシンドラーって自信家で調子に乗ってる成金野郎じゃんて思っていたけど、見ているうちに信念に熱く、一度やると決めたら最後まで貫き通す男だと分かった。
この信念を貫く力に惚れた。
自分がもしこの立場だったら信念を持ってユダヤ人を救えただろうか?
おそらく、そんな勇気はなかったと思う。
上からの命令に反抗したり、その場の空気と真反対のことをしたり、しかも下手したら自分が逮捕や処刑の危険まであるのに。
どうして正しいと思う事のためにここまで自分を捧げることができたのか?
シンドラーはきっと心の奥底に虚しさを感じていた。
それは人を掌握する術をマスターしていたからだ。自分がどう振る舞えば、どういう金の使い方をすれば人を自分の思い通りに動かせるのか。惹きつけることができるのか。それを完璧に理解していた。
だからこそ人生ってヌルゲーだなと手応えを感じにくい環境だったのだと思う。
この時はまだシンドラーの覚醒前だ。
そんな中で金で心を動かせない1人のおじさんと出会い、シンドラーはどんどん変わっていく。覚醒に入っていく。
ユダヤ人迫害の歴史の勢いと共にシンドラーは自分で掌握することなどとても不可能な大きな波だと把握していく。
そんな中で自分の中の"経営者としてのアイディンティティ"と"人を救うというアイディンティティ"の葛藤が激しくぶつかり合う。
そのぶつかり合いはリーアム・ニーソンの迫真の演技でよりこちらまで届いた。
その覚醒していく死に物狂いの生き様を僕は楽しめた。
しかもシンドラーは果てしなく有能な男で信念を計画と行動と結果に落とし込むことができる。
ただ叫ぶだけでは何も変わらないことを彼は知っている。
結果のためなら自己犠牲でもグレーなことでもやると決めたらやりきる。
その覚悟を持った時の生き様は本当にカッコよかった。
観ていない人は一度は見るべきことをオススメします。