すず

シンドラーのリストのすずのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
3.8
色も希望もない世界。

ユダヤ人1100人を救ったオスカー・シンドラーの物語。
ポーランド侵略後、ドイツに移住したシンドラー。
軍需工場を開き、戦後に備えて一儲けしようと考えます。
そこでユダヤ人の会計士シュルテンと出会い、彼と共に事業を展開します。
工場拡大に伴い、賃金の安いユダヤ人を雇うことにしたシンドラー。
有能なユダヤ人を、収容所行きから救い出します。
しかし次第にユダヤ人追い立てが酷くなり、ユダヤ人の居住地区ゲットーが解体される事になります。
その様子を見ていたシンドラーは心を痛め、稼いだお金の使い道を改める決意をするのです。

この映画を見て驚いたのは、シンドラーがヒーローではないという所。
ユダヤ人を利用して稼いだお金で豪遊し、目の前で何が起きようと口を出す訳でもない。
身を呈してユダヤ人を救う男の話だと思ってた。
しかしそこがまたリアルでもあり、ユダヤ人とナチ党員の関係性が出てた。
シンドラーの気持ちに変化をもたらしたであろう赤いコートの女の子がとても印象的だった。
結果的に1100人のユダヤ人を救ったのですが、この車を売れば、このバッジを売れば…と泣き崩れるシンドラーを見るのは辛かった。
きっとあの時シンドラーは、あの女の子の事を思い出したのでしょう。

あの様な状況下で、人間らしくいられる人間こそ本当の人間だなと感じました。
すず

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