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シンドラーのリストのRのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
5.0
すさまじい映画だった。昔一度だけ見たことあって、そん時は単純にめちゃくちゃ感動したけど、今回はもっといろんな角度から見ることができたと思う。第二次世界大戦下ドイツで、ユダヤ人への迫害が激化していくあたりからストーリーが始まる。主人公オスカーシンドラーは、戦争を利用して鍋とか釜を作る工場を作って大儲けすることを企んでる?実業家で、ナチ党員でもある。支払う賃金が安くて済むため?、有能なユダヤ人を会計士につけ、ゲットーに暮らす多くのユダヤ人たちを工場で働かせる。シンドラーはものすごくイケてるオシャレなエロオヤジなので、秘書にはユダヤの美女たちを勢揃いさせる。で、ゴリゴリ金儲け?をしながら、ナチスの将校たちに金品をばらまいて、巧みに影響力を獲得してゆき、ウハウハ状態になってゆく? で、ゲットーから追い出され、強制収容所に連れられ、その途中で簡単に射殺されまくってるユダヤ人を目にし、彼はますます多くのユダヤ人を工場に雇うということをし始める。雇われたユダヤ人は、ドイツのための労働をしているということで、生きることを許されることになる。という流れで、いろいろクエスチョンマークをつけたのは、シンドラーは、はじめからずっと変わらず、イケイケのスノッブで、ドイツ社会のヒエラルキーの頂点に立つ物欲の権現にしか見えない振る舞いを貫いているため、どの時点からユダヤ人たちを助けようという気持ちが生まれたのか、かなりミステリーなのであります。最初からその意図があったように見ようと思えば見えるし、ほぼ全編白黒映画の本編で唯一色のついた赤のコートを着た幼女を目にするシーンのようにも見える。少しづつだんだん気持ちが変化していってるようにも見える。これは結構見る人によって解釈が異なるんじゃないかな。で、彼と鮮やかな対照を成す男として存在するのが、収容所のユダヤ人をまったくランダムに殺戮していく所長のアーモンゲート。こいつはホントに何もかも、文字通り“我が儘”な行動をし、気まぐれで、冷酷で、残忍なのだが、シンドラーに対してはとても不思議で興味深い感情を抱く。これが本作のメインテーマとして存在する大いなる見所のひとつ。その感情が何なのかに関しても、はっきり明確には描いておらず、見る人によって感じ方が異なるだろうと思われる。見た人の意見をきいてみたいところ。というわけで、両極端のシンドラーとゲートは、共に非常にミステリアスな存在で、このふたりのからみが中盤はめちゃめちゃ面白い。てな感じのドラマ的な部分は実にエンターテイニングなのだが、それ以外の描写は、はらわたをえぐられるような凄絶さ。この恐怖はマジでヤバい。ドイツ人がユダヤ人を迫害する残虐シーンは、容赦なく、ドラマ性を排してリアルに描いてあるため、見ててひたすら心臓がバクバクする。戦争をきっかけにしてわき起こる魔性に心を支配され、無情に行われる残酷行為の数々は、見る者の心にトラウマを残すレベル。子どもだとかも関係なく、いともお気楽にお手軽に虐殺していく。血が噴き出し、内臓が飛び散る。本作はドイツを舞台に描いているが、規模は違えど、こんなことは世界の至るところで行われてきた。何ということだ。個人的にいちばん心臓にきたのは、無数の女たちが髪をズタズタに切られ、裸にされ、恐ろしい“シャワー室”に入れられるシーン。全員が恐怖に悲鳴をあげ、無防備な姿で自分の命にしがみつこうとあがく、あの窒息しそうな恐怖。とんでもないシーンだ。これほどまでの阿鼻地獄を現実のものにしてしまえる人間の心の闇…。けれども逆に、同じ環境の中で、シンドラーみたいな人が出て来たりもする。この不思議。人間の不思議。こういった人間の個体性の違いとは、一体どこに源を発しているのか、それもミステリー。しかし、明らかに、人間の善性はどこまでも美しく、魔性は身の毛がよだつ醜さを持っている。善性は人間のハートのコアを揺さぶり、感動させる。これは確実に、世界のひとつの真実なのだろうと思った。本作のクライマックスは、スピルバーグらしい非常に感傷的なシーンになっているが、ここだけ個人的にはもうちょいさらっといってほしかったなーと思った。けど、これはたぶん好みの問題。ただ、こんな盛り盛りシーンで若干冷めそうになりながらもぶわっと涙を禁じ得なかったのは、リーアムニーソンの演技に説得力がありすぎるため。すげー役者だ。そっから、さらにあの! うおわーーーーってなるエンディング!!! 後から後から涙が出て止まらなかった。ほんとに凄い映画だった。本作は一部の人たちからものすごく評判が悪いらしく、批判する気持ちも分からなくはないが、そんなノイズを吹き飛ばすくらい、圧倒的な信念と情念に貫かれた大傑作だと思う。SHOAHとか、買ったけど長すぎて途中やめで見れてないし笑 そのうち見るけどね。こんくらいエンターテインメント色ないと、キツいよ、このテーマは。最後に、ふたつ、音楽よすぎ! アウシュヴィッツ到着シーン怖すぎ! 以上! 全人類が見るべき映画!!! ブルーレイ即買い!!!
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