けーな

シンドラーのリストのけーなのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.7
公開当時に観て、大変衝撃を受けたが、大筋以外、だいぶ忘れかけていたので、再び鑑賞。

今作は、数々の名作を作り出したスピルバーグの最高傑作だと思う。今作では、彼の真髄を見たと言って良いくらいだ。

映画なので、脚色を加えた部分もあるのだろうが、史実を元にして作られたということで、ホロコーストの恐ろしさ、戦争の恐ろしさを改めて思い知らされた。そして、何より、狂気に満ちた時の人間こそが一番恐ろしいものだと実感した。と、共に、優しさを持っているのも同じ人間なのだということを強く感じた。

公開当時、今作で、リーアム・ニーソンのことを初めて知った。リーアムは、ヒット作に、この後、たくさん出演しているが、やはり、シンドラー役が一番だと思う。

主役のリーアムもさることながら、今作で、私にとって、最も印象深かったのは、レイフ・ファインズ。今作の1年前の「嵐が丘」で、レイフ・ファインズを初めて観て、衝撃を受けたものだったが、今作では、さらにもっと衝撃的で、残虐極まりないナチス親衛隊将校を冷酷無比に演じる姿に、度肝を抜かれた。彼が演じたアーモン・ゲートの非情さと言ったら尋常ではなくて、決して許すことのできない嫌な奴なのだが、映画内で、その悪役ぶりを見事に演じている様に心を掴まれた。あの冷たい目線には、背筋が凍る想いがしたが、その一方で、どこか惹きつけられるものがあった。ちなみに、この役を演じるために、レイフ・ファインズは、15kg近く増量したのだそうだ。

そして、今作の、もう1人の名演技者は、ベン・キングズレーであることは、言うまでもない。シンドラーの会社を切り盛りしたユダヤ人の会計士イザック・シュターンを見事に演じている。シンドラーとの関係は、初めは、仕事上のものだったが、次第に友情が芽生える様子をいぶし銀の演技で表現し、素晴らしかった。

スピルバーグは、元々は、ドイツ語とポーランド語の映画にしたかったのだそうだ。しかし、字幕をつけると、映像から目を離してしまって、映像を見逃すことになるという理由から、英語の映画にしたのだそうだ。私は、普段、映画で、ドイツ人将校が英語で話すと違和感を感じるのだけれども、スピルバーグがそう言ったのなら、仕方がないと思って、納得した。とは言っても、日本語の字幕を読んで観ている日本人は、どうなる?と思ったけれども…。
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