図師雪鷹

シンドラーのリストの図師雪鷹のレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
5.0
3時間越えなのに飽きない。これだけでほんとすごい。


ホロコーストを題材にした映画では一番だと思う。
第二次世界大戦中、とにかく儲けたいドイツ人のオスカーシンドラー。彼はユダヤ人の会計士イザックの協力のもと。賃金が安いユダヤ人を大量に雇って多くの琺瑯鍋を作り金をたくさん手に入れようと企む。
だが、ナチスの悪行を目にし、彼は次第に変わっていく。
第二次世界大戦が終わった時、彼は完全に変わっていた。彼は、ユダヤ人を救えなかったことに対する悲しみを口にしたのだ。一度手放すことになってしまった自分の会社で働いていたユダヤ人を呼び戻すため、イザックと共にリストを作り、多くのユダヤ人を救ったあとだった。
シンドラー会計士のイザックはそんな彼に金の指輪を渡し、握手する。その時の様子がとても印象に残っている。その友情のなんと美しいことか。ドイツ人とユダヤ人の間に出来た溝に橋が渡されたシーンだった。
そして、最後のシーンで、我々は、オスカーシンドラーがどれだけ価値のあることをしたのかが理解できるのだ。



この映画は95パーセントくらいモノクロだ。残りのカラーは印象的に使われてる。
特にあの赤い服の少女が、心に突き刺さった。一瞬目の錯覚を疑うのだが、たしかにその少女だけ色が付いているのだ。この少女は、沢山のユダヤ人が流した血を、一人で背負っているのかもしれない。


この映画ではとにかくホロコーストの悲惨さが伝わってきた。何気にすごいのが撮影。画面から人の持つ恐怖が恐ろしいほどに伝わってくる。撮影のプロでもない自分にも撮影のすごさがわかる映画は基本名作だ。
かなりのスピードで人の命が失われていくこの地獄を、スティーブンスピルバーグは躊躇なく鮮明に描いた。こんな残酷な映画を作るのは彼のような名匠でもとても辛かったことだと聞く。だが、ユダヤ人の血を引くスティーブンスピルバーグ。彼の、この映画を作る情熱は、そんなことでは揺らがなかったのだろう。
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