ギョギョン

シンドラーのリストのギョギョンのレビュー・感想・評価

シンドラーのリスト(1993年製作の映画)
4.3
授業で『シンドラーのリスト』が取り上げられた際、なぜか映画ではなく元フィギュア選手のリプニツカヤがこのテーマ曲で演技をしている映像を見た。でも、それがとても印象に残っていた。映画を見たいけど長尺ということもあり、避けていたが、今回、見て本当によかった。
映画を見ていると、何の罪もない人々が次々と殺されるシーンがあり、正直つらかったし、ほとんど目を瞑っていた。目を開けると、死んでいるのだ。(当たり前だけど)シンドラーに感謝していた身体に障がいのあるおじいちゃんが殺されたときは、本当に、絶望しかなかった。
でも、この映画には絶望に負けない光が差していた。それはユダヤ人たちの家族に対する愛であったり、シンドラーの、ユダヤ人を救いたいという思いであったりと、誰かが誰かを思う気持ちなのである。それは、いつの時代も変わらず必要不可欠だ。シンドラーという人物は実際よりもだいぶ脚色されていると思うが、映画の中でアーモンに言っていた、「力とは、殺す正当な理由がある時に殺さないことだ」という言葉に私は大きく頷いた。それはつまり、許しの気持ちを持てということであり、自分自身の良心を保つことの大切さを述べているのではないかと思う。案外これは難しいことであり、アーモンも聞いた直後は良心が働いたのか、ユダヤ人を無差別に殺さず許していたが、すぐにまた前の彼に戻ってしまうのだ。人間、おそらく誰しも良心と悪心が備わっており、いつも良心が働いているわけではないだろう。何事も最初は頑張って取り組み、ちょっと慣れてくると手を抜いてしまったりということは私も心当たりがある…。悪魔の囁きである。この映画は、そのような人間の心の弱さに対する警鐘であると思った。それと同時に、自分以外の誰かのことを思いやり、愛する心を持ってこれからを生きていくべきだという教えも込められている、と思う。