ハル

7つの贈り物のハルのレビュー・感想・評価

7つの贈り物(2008年製作の映画)
3.8
ウィル・スミスが好きなので鑑賞。
この作品の彼はいつもの役柄とは大きく違っていて、直情的な思いの強さと裏腹な、謎に満ちた面持ちへ気持ちを馳せる事となった。

冒頭から彼が何を求め、そもそも誰なのかすらわからない。
国税を名乗って訪問したり、他人へ嫌がらせの電話をしてみたり、パッと見てる感じは行動理念が不統一過ぎる人。
弟ともなんだか上手く行っていない様子。
時折インサートされる計画会議のときはシリアスな表情で面々と会話をしているが、何か悪巧みをしている感じでもない。

そうこうしていくうち、少しずつ彼の正体と過去、やろうとしていたことがわかってくる。
とはいえ、よくわからない状態のまま終盤まで一気に突き進むのだけど。
真相が見えてきた時、まず感じたのは抱えきれない絶望と愛の大きさ。
そして“贖罪の気持ち”
この作品の肝は彼が何を目的に動いているのか、どんな人なのか、そこに尽きると思った。
彼の言動や周りとの関係性から推測をしながら観るのは興味深く、芝居の熱量はいつも以上にパワフルだし、ウィル・スミスならではの良さも存分に出ていたよう感じる。

また、全てを理解した上で考えてみてもこれが正しいやり方だとは決して思えない。
おそらく自分が同じ立場だとしても、出来ないし行わない。
ただ、その気持ちは痛いほどにわかってしまうものだから余計に胸が苦しくなる。
生き方と信念、パーソナリティーとも言える部分。
命の在り方を決めれるのはその人自身、実に難しいね。
終盤、これまでのベンの行動が加速度的にリンクしていき、タイトルに隠された本当の意味を知る時、彼の抱え続けた想いの深さに魂が揺さぶられた。
ハル

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