何度となく停止ボタンを押しそうになりながら美点を探していたら、エンドロールが始まった。これまで観たピクサー作品のなかで初めて「退屈」としか言いようのない作品だった。
アメリカ社会の内輪ネタが十分に理解できなかった点を抜きにしても、そもそもルート66自体が使い古されているし、ピクサーにあるまじき中弛み、何がしたいのかサッパリなシーンの数々、魅力のないキャラクターたち、下品かつ侮蔑的かつお寒いジョークの連打、公開当時でさえダサい挿入歌たち、お決まりの昔話と説教……
本作における光の反射のリアリティは前作までにはなかったものである。とくに砂埃を巻き上げるショットは自信作だったらしく何度か登場する。夕陽の砂漠・岩山の景観も同様に美しい。
が、まァ褒められる点はそんなところか。レースはもちろん気合い入っているが、序盤の迫力を超えられていない。