面白い。
聖者が恋を知って、堕ちていく。
堕ちて堕ちて堕ちて、その心の移り変わりがフィルムの色の変化へと滲み出る。
堕ちて人格が壊れてしまえば、この世界も壊れて街が崩壊し、歪んでしまうのだ。
人が罪悪感を覚えて現実に気づくのには、全てが終わり、喉元を過ぎてしまわねばはならないことを教えてくれる。そしてそうなった人間は、罰を受けることで許されようとするのだ。
この作品で面白いのは、登場人物の所作だけは最初から最後まで変わらない。それがまるで人の生き方が変わらないことを表現するかのようで、なぜか救われたような気になる。