まぬままおま

ラストムービーのまぬままおまのレビュー・感想・評価

ラストムービー(1971年製作の映画)
3.8
デニス・ホッパー監督作品。

分からん!でもこの分からなさはとても好き。

虚構と現実の揺らぎ。
本作はスタントマンのカンザスの現実世界と映画内映画世界、撮影地ペルーでペルーの人々がつくる映画内映画世界、そして象徴世界の4つの世界が、モンタージュによって意味連関なしに繋がっている。カンザスは物語世界を生きているのかそれとも演技をしているのか。その境目が「分からなくなっていく」。

オリエンタリズムな西洋の眼差しだと、ペルーといった「未開」の地を禍々しさでしか描けない。実際、禍々しさの象徴の祭りは行われるのだが、藁細工のカメラやマイクでペルーの人々は映画を撮っていく。この「未開」の地でより高度で象徴的な「映画を撮ること」が描かれていて興味深い。

また虚構と現実を攪乱させるためには音が有効なのかもしれない。
例えばハンマーで石を叩く音が物語世界と映画内映画世界で一貫して聞こえており、それが錯覚を起こさせる。
他には物語世界であえて雑なモンタージュ(youtubeで空白の時間を削る編集(ジャンプカット))をすることで、映画らしさを演出しているのも面白い。

虚構と現実、その境目、象徴、映画を撮ることなどが本作の「映画らしさ」で確認できるし、考えさせられるし観てよかった。