ブタブタ

ラストムービーのブタブタのレビュー・感想・評価

ラストムービー(1971年製作の映画)
5.0
映画による『死者の書』

幻のベネチア映画祭グランプリにしてデニス・ホッパーのキャリアを終わらせるところだった「呪われた映画」
その噂に違わず凄かった。

デニス・ホッパーはやっぱりWSバロウズ読んでただろうし、多分だけどバロウズが映像の編集や絵画のコラージュを文学に持ち込んだ「カットアップ」「フォールドイン」を更に逆輸入して映画・映像でやろうとしたのでは。
それくらい編集が滅茶苦茶かつブルトンのシュルレアリスム文学、自動書記みたい。

バロウズの前衛西部劇『the place of dead roads』(どん詰まりの地)を映画化したらこうなるんじゃないかって見てる最中何度も思いつつ。
デニス・ホッパー演じるスタントマン・カンザスにとってもここは「どん詰まりの地」であり「デッドロード(死への道)」

ペルーの村人達により映画がフィクションを越えて現実へとやって来る。
その幻視の映画『ラスト・ムービー』の主役「死者」に選ばれたカンザス。
木や竹で出来た「呪物」としてのカメラやマイク。
精霊の仮面を付けた人々、土着的宗教儀式と「映画」という近代の産物が渾然一体となった狂気の、村人達にとっての新しい「宗教」であり「娯楽」

何度も挿入される「シーン消失」は挿入歌の「空白と空白の間、行と行の間」の詩の通りに実は最初から存在しない、見てる人間が「行間を読む」為の物なのでは。

ホドロフスキーも編集に関わってたらしく、後半の現実と幻想の境が無くなっていく件は正にホドロフスキーみたいに感じたのですが。
サミュエル・フュラー監督の西部劇『ビリーザキッドの死』とそのメイキングフィルム。
皆が去った後の村人達による『最後の映画』そしてそれと撮っているのはデニス・ホッパー。
映画の中でカンザスは何度も何度も死んでは蘇りカメラを見る。

やっと見れたので新たに感想書きました。
以下は最初に見ないで書いた部分↓


『ラスト・ムービー』がリマスターされ遂に日本でも12月に公開との事。
今思えばVHSビデオなら恐らく高円寺のオービスや、十数年前当時住んでた町田のうちの近くにあった個人経営のマニアックな品揃えのレンタルビデオ屋に多分置いてたあったと思うので見ておけばよかった。
デニス・ホッパーが『イージー・ライダー』の成功によりユニバーサルから100万ドルの製作資金を得たものの内容を巡りユニバーサルと対立し、たった二週間しか上映されなかったとか。
本当はちゃんと見てレビューすべきですが今は見る手段がないので。
ペルーで西部劇の映画撮影が終わり監督スタッフが去った後もデニス・ホッパー演じるスタントマンらが残り現地人と一緒に映画を撮ろうとするストーリーだそうですが、そこは重要ではなく映画制作を巡るメタ映画で現実と幻想が入り交じるドラッグとカウンターカルチャー、シュルレアリスムムービーだそうで早く映画館で見たいです。
色んな方のレビューを読んで思ったのですがホドロフスキーの『エル・トポ』も近くでサム・ペキンパーの『ワイルド・パンチ』の撮影をやっててロケ地セットや小道具を借りたとかホドロフスキーは撮影中もLSDやっててその幻視体験を映画に取り込んだとか『ラスト・ムービー』に通じるものがあります。
ホドロフスキーの『エンドレス・ポエトリー』に続く自伝的映画の第三部はパリに渡りブルトンのシュルレアリスム運動に参加する話しで(『エッセンシャル・トリップ』と仮題もついてますが果たして完成するのか·····)更にはその次はホドロフスキーがメキシコに渡り『エル・トポ』制作の現場の映画になるらしく、まさしくそれはホドロフスキー版の『ラスト・ムービー』になるのでは。
果たしてそれが完成するかは分かりませんがとにかく『ラスト・ムービー』リマスター版早く見たいです。