みー

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチのみーのレビュー・感想・評価

3.7
Origin of Love ージェンダー・マイノリティを優しく包む歌ー

Mark!リストにサングラスや銃を持ったおじさんが続いたので、ここらで色気たっぷりのロック・クイーンを。

数年前、母がある日突然この映画DVDを持ってきて、「韓国でジョン・キャメロン・ミッチェルを観てきた。出待ちしてたら、会えたのよ!めちゃくちゃカッコいいから、とにかく観て!!」とDVDを置いていった。

ストーリー。
主人公ヘドウィグは、自由を夢見て性転換をした、売れないロックシンガー。かつての恋人トミーは、ヘドウィグと作り上げた曲を自分の物として盗み、今やスターに成り上がった。
ヘドウィグはそんな彼を憎しみと愛で追い、バンドを引き連れて、歌う。
ヘドウィグの「愛」、「怒り」は、果たして何処へ…。

一貫してテーマは、LGBT…性的マイノリティの中の、「自分らしさ」の追求でしょうか。ヘドウィグだけじゃない。トミーやイツハクに関しても、繊細な問題を抱えているように見えました。

ヘドウィグの生い立ちエピソードはかなり端的に示されて、会話も哲学のような話が多く。
歌詞や曲での表現も、とても詩的。

たくさんのオリジナル曲はすべてキャッチーでかっこいい。歪んだエフェクトのギターなど、90年代を象徴するロックの良いとこ取り?!
シアトルのオルタナティブな雰囲気、UKパンク、メランコリックなバラードまで、私が青春時代に聴いていたロックの雰囲気を醸し出してました。

…っていうか、個人的には、曲そのものより、とにかくステージパフォーマンスが魅力的!!ヘドウィグに釘付け!!

ジョン・キャメロン・ミッチェルが演じる「彼女」が奇抜な衣装に身を包み、パワフルに歌い上げるその姿。
めちゃセクシーでした。

タイトルのAngry Inchはもちろんだけど、Sugar Daddyはカントリー調の曲なのに、妖艶なパフォーマンスでおじ様達を虜に。カッコよかったな〜。

いずれにしても、この作品は実際の舞台で観た方が断然良いだろうなと思いました。母は、それで夢中になっちゃったんだろうな。
マドンナが権利を欲しがったり、ミュージカルの原作に熱狂的なファンがいるのも、納得です。

私は作品自体にはさほど入り込めなくて残念でしたが、LGBTや、その他ナイーブな悩みを抱える人にとっては、きっとヘドウィグがとても身近に感じて、愛おしいのだろうな…と思うのでした。

Apple Musicで、サントラを時々聴いております。

小さなレストランで暴れ回る、アングリーなヘドウィグのパフォーマンスをぜひ。
みー

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