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陸軍中野学校のおーたむのレビュー・感想・評価

陸軍中野学校(1966年製作の映画)
3.7
市川雷蔵、増村保造を初鑑賞。
なるほどなって感じです。日本式ノワール。

ずいぶん前に読んだジョーカー・ゲームみたくスタイリッシュな話かと思ったら違って、「私は如何にしてスパイになったか」みたいな話でした。
まあ、それでも別にいいんですが、ああいう草薙中佐に感銘を受けて、それまでの自身を捨てたり、同輩を殺したりできるあの感じは、なんだかなあって思いました。
まして、天涯孤独というのならまだしも、彼らは家族も恋人もいた身な訳ですから、スパイという人生を選ぶだけの大義、思想、あるいは中佐自身のカリスマ性というあたりに、もっと説得力が欲しかったです。

終盤の、卒業試験のあたりは面白かったし、主人公とその婚約者の行き着くラストは、やるせなくて良い感じなので、全然つまらないということはないですし、見ごたえはあります。
が、完璧かと問われれば、個人的には、そうは言いにくいかなというのが、正直なところです。
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