ちいさな泥棒

私の中のもうひとりの私のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)
3.8
隣から聞こえてきたカウンセリングの会話で何もかも合格点で生きてきたと理屈をつけて思い込ませようとしていた自分に50歳を迎え気づいてしまった主人公。

気づいた時にはまわりから距離を置かれてる人生なんて悲しすぎる…けど側にいたら絶対に仲良くしたくないタイプの人。

「私達はね、二人とも孤独なのよ」

彼女の置かれた状況や上昇志向を考えれば感情を抑え乱されなければフラットでいられて仕事もできるというのもわかる。ただその冷たい頭でおざなりにしてきた人達自分さえよければと傷ついてきた人達、その手の話は苦手だと真剣に取り合わず傷つけてきてた人達。

地位はもっていても"何も持ってなかった"

やはりウディアレンかと途中から気づき。突然の舞台骨董品屋とか『アリス』っぽい。あまりウディ作品得意ではないけどこれは◎

自分の内側を見抜き気持ちを注いでくれる相手に何もかも晒して預けたい反面、逆に怖くて距離をとってしまう気持ちは共感できた。

めんどくさい物事には「私そういう話は避けるようにしてるの」って平気で拒んだりする。私にはできないことなのである意味その潔さはカッコよさすら感じちゃったんだけど、感情が乱れたり揺るがされるのはめんどくさいし確かに嫌だけど、逃げてばかりで大切にしなければならない交流や問題から目を背けすぎて遮断するのもよくない。嫌でも関わっていかなければいけないのだから。

心の平穏が正しい形で得られますように。