エアール

1408号室のエアールのレビュー・感想・評価

1408号室(2007年製作の映画)
3.3
幽霊、神、説明のつかない超常現象の類を一切信じないオカルト作家が
反対を押し切って宿泊することにしたとあるホテルの一室。
そこで体験する数々の奇怪な現象を前に
作家は頭を抱えることになる
ーー自分の頭がイカれたのか、それとも…


ジョン・キューザック × メアリー・マコーマック × サミュエル・L・ジャクソンらが共演を果たし、
原作 スティーヴン・キングの短編ホラー『一四〇八号室』を映像化した本作。


オカルト作家のマイク・エンズリンことキューザック、
霊的なことに関して懐疑的な彼は
いわくつきのホテルなどそういったスポットに出向き実際検証を行い
それをもとに恐怖度の自己評価をつけて
マニア向けの本を書く
ーーそれが仕事ですからと 笑

どんなに凄惨な”過去”が語られようが
実際に行ってみたら何も起きず
ーー要は
演出で神秘性を増して宣伝に利用したいだけであろうと…
そんな彼の目に留まった一枚の葉書
ーーNY ドルフィン・ホテル
”1408号室に入るな”と一言だけ。

NY
そこはマイクにとってつらい過去が突きつけられる街
ーー脳腫瘍で幼い愛娘が死んだ場所であり、
父親の自分といえば
娘 ケイトがつらい時に何もしてやれず…
ケイトが亡くなって
妻 リリーことマコーマックの顔を見るたびに
ケイトのことを思い出してしまうことに我慢できず
何も告げずにリリーの元を離れて
以降、スポット巡りと執筆活動を。


ドルフィン・ホテル
支配人であるオリンことサミュエル
ーー彼は頑なに
14階にある1408号室への宿泊を許可しない
ーーオリンいわく
1時間以上持ちこたえた人はいない、
過去にあの部屋に関わって死んだ人間は56人
ーー飛び降り、薬、首吊り、切断、窒息、自然死…
ーーどう考えても普通じゃないでしょと、
この部屋だけカードキーが作動せず、なので鍵を使用。


聞けば聞くほど好奇心を刺激され
反対も聞かずに宿泊することを決めるマイク。
いざ部屋に入ると
別に何も変わりのない、ただの普通の部屋。
室内を観察し、特に何も起こらず時間だけが過ぎてゆく。
結局は他のスポットと変わりないと
げんなりしかけていたところに
”現象”は起こり始める…。

急に大音量で流れ出すラジオ、
感じる”誰か”の気配、
温度調節ができず異常に暑い室内、
凄まじい血痕のあと、
カウントダウンが始まるタイマー
ーー時間はもちろん60分、
極度の耳鳴り、
鳴り出す電話と支離滅裂な内容、
開かないドア、
幻覚、
娘の声、
助けを呼んでも誰にも聞こえず、
部屋から脱出を試みるも何れにしても最終的にはこの1408号室に戻って来てしまう、
現実感の喪失と歪み、
テレビから流れる幸せ絶頂期のホームビデオ、
残像、
ノイズと頭痛、
通風口、
悪夢
ーー夢ならばこちらの世界で死ねば元の世界に戻れるのでは?、
隣室も通りを挟んだ向かいのアパートの部屋もあるようで存在しない、
絶対に部屋から抜け出せない…と。

呪われた部屋に閉じ込められ
自分の命が危険に晒されている
ーー”何が”が俺を殺そうとしてる、
不安と絶望、そして恐怖に満ちたその部屋では
客の自由意志を尊重し
追体験もできれば、”チェックアウト”も可能であると…
さあ、幽霊物語に終止符を。
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