アルパカ兄さん

天国の本屋〜恋火のアルパカ兄さんのレビュー・感想・評価

天国の本屋〜恋火(2004年製作の映画)
3.6
この物語の主人公、ピアニストの健太(玉山鉄二)は奏者として評価されず苦悩の日々を送っていた。ある日のアンサンブル公演後(?)その所属グループを解雇され、酒場でやけ酒をくらっていて、そのまま眠りについてしまう。目が覚めると見知らぬ世界にいた。そこは天国だった…。これが導入の部分。

死後の世界は誰にも分からないが、著者の天国への奇想天外な発想で描く世界観は実に面白い。

"天国"とは、生きとし生ける者にこそ考えうる理想の世界。何故死後の世界を想像したり、こういう作品が生まれるのか考えてみると、死者は"苦"から解き放たれてあの世で幸せな日々を送っていてほしいという願いがあるからじゃないかなと思う。そして、そう信じることによって死別の悲しみを浄化したいのだろう。
ただこの物語では死者は死者の悲しみや悩みがあり、楽しい事しか存在しないという世界ではない。そのあたりもいかにも人の考えた作品なんだな〜と思わされます。

作品の中でポイントとなる"花火"
エンディング曲のユーミン。素晴らしい演出でした。

もう会えないけど、どこかで生きてる。そんな感触を得られる心温まる作品でした。