狭須があこ

アビス/完全版の狭須があこのレビュー・感想・評価

アビス/完全版(1993年製作の映画)
4.0
宇宙と深海。
混沌のカオスと深淵のアビス。
どちらも魅力と恐怖があって、興味の尽きないテーマです。
しかし明確に「好き」と言えるのは、私は断然深海です。なぜなら、そこには確実に、生き物がいるからなのじゃ

しかし舞台は深海だけども、かなり「人間」にスポットの当たっている映画でした。人の背中にコーンフレーク流し込むアホが居る当たりでだいぶ彼らのこと好きでしたけど、最後のほうもちょっと感動しちゃったよ。
深淵の奥深くでも、息づく彼らの人間くささ。

もう完全に深海アドベンチャードラマだと思って見てたけど、ふと我に返るとイヤ私コレさ、SFで借りたんだよ!
未知のファンタジーがなんか起こるはずなんだよ!

ストーリーがSFに集中しないからこんな尺が長い映画なんですね。
深海で潜水艦ブツけまくりの肉弾戦。コワすぎでしょ。そういう用途じゃないでしょ潜水艦。
私2、3年前に「しんかい6500」のプラモ作ってたら窓の部品壊して「こんなん浸水するからもう乗れないじゃん!」って途中で放り出してるんですけど、それくらい壊れてても全然ヘーキな気がしてきました。再開するわ

そんでさ、未知の存在に出会ってさぁ、なんでいきなりさわるんだよ!
いや私もさわるけどだよ
ライフって映画見た!?カツオノエボシ知ってる!?バカ!!!!という、ハラハラと羨ましさと同族嫌悪の混ざった気持ちで暴れました
ムキーずるい
深海なんて私も好きだよ、さわりたいわよ。

でも一個とても気になった。
「地球のものじゃない」って断定はどこから??ロマンは宇宙だけだという根拠は??
深海に知的生命体が居ないなんて前提がどこにあるんだ、深海ロマン派としてちょっと文句を垂れたいとこでした。

映像的に言うならば、どうやって撮影しているんだ?ってシーンが多くてとても楽しかったです。
ネズミは撮影よく頑張ったなぁ!と思ったけど、複数のネズミが撮影協力してるんだってさ。wikiに、「すべて生き残り、撮影後、すべてスタッフのペットとなった」とあってほのぼのしました
よかったね。お疲れ様ですね。

"深淵のモノ"、かわいいなぁ。
あくまで最後まで人間ががんばる話だけども、ただ、舞台が深海ならば、彼らはそこに"居る"んだ
そのバランスが長尺と噛み合って、あまり類を見ない余韻を残す映画でした

頑張る人間の魅力って、SF世界の魅力に負けないよね。
狭須があこ

狭須があこ