安堵霊タラコフスキー

手錠のまゝの脱獄の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

手錠のまゝの脱獄(1958年製作の映画)
4.0
冒頭音楽流れてるかと思ったらシドニー・ポワチエの歌声だったりBGMかと思ったらラジオの音って設定だったり、普通に音楽は使わないっていうスタンリー・クレイマーの意志が感じられる点が面白かったし、その徹底ぶりが緊張感を生んでいたのも良かった。

邦題の通り白人と黒人が手錠のまま、啀み合いながらも協力して逃走を行うという話も、50年代後半という時代にはあまりに先進的だったし、手錠が外れた後も結局協力し続ける様子には黒澤明的なヒューマニズムを感じずにはいられない。

基本的な演出は手堅いものばかりだったが、ダウンバイローやテルマ&ルイーズが参考にしたであろう見応えのある逃亡劇はやはり素晴らしいものがあった。