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羊たちの沈黙のdeenityのレビュー・感想・評価

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
4.3
何となくハンニバルシリーズのどれかを見たような気がしていたけど、本作ではなかったのかもしれないな。見てても記憶に擦りはしなかった。
だってこれだけインパクトあるレクター博士を見たら何となくでも記憶に残るよね、普通。大好きなアンソニー・ホプキンスですが『ジョーブラックをよろしく』なんかで演じた人間臭い役とは打って変わって、何を考えているかわからない狂気の人間を演じている。あの迫力、あの威圧感、あの恐怖感、佇まい一つで脳に訴えかける「ヤバい人だ」オーラが満載の演技。やはり実力が違いますね。
もちろんそれを引き立てるための「レクターだけは気をつけろ」っていう前置きの会話や設備の厳重さなんかも見逃せない。一人だけガラス張りだしね。演技と脚本と舞台の相乗効果あってのレスターでしょう。
でも不思議なもので、そんなレスターをどこか魅力的に感じてしまう自分。はっきり言って本作の一番の見所はレスターとクラリスの関係性かと。対立的立場にある二人だが、それくらい味のあるキャラクターだった。
クラリスはクラリスでも若き日のジュディ・フォスターは美しいのも事実だが、知的でありながらクライマックスでの人間らしいビビりっぷりには何となく好感を覚えます。

正直なところ、この二人で持っていた部分はあるのかもしれない。メインのはずのバッファロー・ビルのインパクトが薄すぎて肩透かしを食らった感があるのも否めない。もちろん、ラストシーンではかなり緊迫感ある展開に興奮したのだけれど、それは演出的問題であり、肝心の部分が弱かったのが少し残念に感じた。
しかしスリラーサスペンス映画としては間違いなくレベルが高く面白かった。
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