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羊たちの沈黙のおーたむのレビュー・感想・評価

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
4.0
猟奇ものとの印象が強く敬遠してましたが、この度鑑賞してみました。
怖がらないといけないほど怖くはなく、普通に面白かったです。

話の筋は案外すっきりしていて、連続猟奇殺人事件の解決が主目的。
主人公の捜査官クラリスが、有名なレクター博士と接触するのも、その事件の捜査のためです。
と言いつつ、個人的な本作の見所は、捜査中の事件それ自体ではなく、その捜査過程であるはずのクラリスとレクター博士とのやりとりだったと思います。
猟奇性と高い知能とある種の品格をあわせ持つ食人鬼と、強さと脆さを同居させる若く精力的な女性捜査官の交流は、単なる尋問の域を超えた妙な神聖さがあり、この場面は作品自体にも格を備えさせていたように感じました。
両主演のアカデミー賞獲得も納得です。
キャスト以外も様々な要素が、緊張感を煽り、猟奇色を醸し出していて、このジャンルの教科書と言ってもいいような丁寧な作りには好感持てました。

まあ、アカデミー賞5部門制覇したと聞くと、それほど良いか?とも思いますが、良質の作品には違いないです。
サイコ・サスペンスの入門書としては、おすすめできる作品だと思います。
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