ハル

羊たちの沈黙のハルのレビュー・感想・評価

羊たちの沈黙(1990年製作の映画)
4.0
「君らの追っているバッファロービルは何をしている?」

「女を殺してるわ」

「違う。それは二次的なものだ。彼は渇望している。渇望はどのようにして始まるかね、クラリス?」

連続殺人鬼・バッファロービルはふくよかな女を誘拐してはその生皮を剝いでいた。FBIのジャック・クロフォードは、収監中の精神科医レクター博士に捜査協力を仰ぐため、訓練生のクラリス・スターリングを派遣する。レクターは犯人逮捕の手がかりを与える見返りとして、クラリスの秘めたる過去に迫っていく。

この作品の大きな見どころは、フェミニストヒーローとしてのクラリスが人食いレクターによって精神的にじわじわと丸裸にされていき、そして、それを乗り越えることによって成長していく点である。後にレクターは「羊たちの声は鳴きやんだかい?」と問うことで、クラリスが過去に抱えたトラウマから解き放たれたか否かを確かめている。レクター博士との出会いは、クラリスにとって、自分自身と向き合い強くなるための、言わば、通過点だったのである。そして、バッファロービル事件から10年後、刑事として人間として成長したクラリスは、再び、レクター博士と相まみえることとなる。それについては、続編の「ハンニバル」に詳しい。
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