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夜と霧のmamのネタバレレビュー・内容・結末

夜と霧(1955年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

元レジスタンスの原作者ジャン・ケロールの強制収容所での体験をもとに生々しく語られる、初期アラン・レネ監督作のドキュメンタリー。
41年ヒトラーの総統命令に由来する「夜と霧」

収容所内では管理番号の刺青以外にも、不可解な序列が存在する。
赤い印は政治犯 < 緑の印は刑事犯 < カポ(囚人の役人) < 親衛隊 < 所長
ドイツ人の刑事犯なども収容されており、ユダヤ人には星印がつく。

カポは囚人の役人として親衛隊の手足となって囚人を締め上げる卑劣な存在。同じユダヤ人でありながらカポは虐待や重労働を免れ、個室や服も与えられた。
青い縞の服は囚人用、カポは普通の服が許され、服により分類される"夜"と"霧"

動けなくなった囚人が医務室で待つのは死の注射。目を開いたまま絶命するものも。外科病棟で行われる無意味な切断や去勢、化学物質を使っての人体実験まで。

大量に積み上げられた、死体や刈り取られた髪の毛の山...。
髪は毛布に、骨は畑の堆肥に、死体からは石鹸、皮膚は乾燥して紙代わりに。家畜の如き扱われ方に言葉を失う。

ブルドーザーで処理される死体の山...直視できない凄惨な映像が延々と映し出され、人間はこれほどまでに残虐になれるのかという恐怖に震える...。

記録映像によるモノクロ部分と、カラーによる10年後の空虚な空間の対比に胸が詰まる。

2022-221
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