菩薩

たそがれの女心の菩薩のレビュー・感想・評価

たそがれの女心(1953年製作の映画)
4.3
毎度お馴染み流浪のイヤリングルイーズ伯爵夫人です、耳飾りアワワ〜…なお話。いやぁ…悲劇っちゃ悲劇なのだが笑ってしまう(面白くて)。嘘の代償は余りに大きく、不要と捨てた筈の神にさえ縋り遂には天に召されていく。ここに来てオフュルス印の総決算を感じる。徹底的な階段昇降の反復、人の居なくなったダンスホール、蝋燭の着火/消火、貞操観念の欠如、決闘。オフュルス→キューブリック→P.T.Aに至る一つの流れ(言いたいだけ)。豪華絢爛ではあるが何故か嫌らしさは感じられない…自分でも不思議だ。破りさった送られはしない手紙が雪へと変わっていくとこが大変好みだが、卒倒の反復の回収も見事だなと思う。何がズルいって決して「愛している」とは言わないし言わせないってのがもう…めちゃくちゃ愛しあっとるやんけ…なんやねん…ってなる。自分の結婚生活は完全に破綻に向かっているのに国同士の同盟強化には拍手を送る哀れな軍人、その仲を取り持つ筈の外交官に関係をかき乱されているってのに…。こう言う話歌舞伎町のキャバ嬢とかでもありそう、女の嘘を許すのも男の器量なのか…?耳飾り、その運命の、カドリーユ。
菩薩

菩薩