じょにー

スプライスのじょにーのレビュー・感想・評価

スプライス(2008年製作の映画)
4.6
サスペンス、SF、クリーチャー、、、この作品に興味を持ったなら、ここまでは予想通りでしょう。
ところがまだまだ底が深い。スリラー、スプラッタにモンスターパニック風味から人間の性根まで見せながら、禁忌に次ぐ禁忌で倫理の暗がりを転げ回される。すげえ。
こう書くとすごいヘビーに聞こえるけど、2008年の映画だからCGの甘さと上手さも楽しみながらなんかちょうどよく見れた。映画って感じするなー!

科学者であるクライドとエルサが生み出した“それ”に対して感情移入させられつつ、同時に抵抗感も膨れ上がっていくバランスが良く出来てる。
この2人はどちらもが善であり悪であり、それぞれの立場とそれぞれの過ちを経てそのバランスが徐々に崩れ全てが間違っていくカオスが美しい。
そうして倫理の境界が消えた後でさえ物語が続く虚無感も。母性も父性も雄も雌もぐちゃぐちゃになっていく気持ち悪さも。

クリーチャーデザインも素晴らしい。最初のアレなんか、見たことない姿でいながら絶対見たことあるという絶妙な垣根の上に立ってる。
意外性の無さが露呈する場面や、エグめの展開もあったけど、物語としての構図が整理されてるからこそ楽しめる不快感が最高だった。
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