クシーくん

ブロンクス物語/愛につつまれた街のクシーくんのレビュー・感想・評価

4.5
いやメチャメチャ良い映画じゃないですか。
ドゥーワップから始まりドゥーワップに終わる。いいなあ60年代。

作中のギャング親父ソニーを演じるチャズ・パルミンテリが自らの半生を一人芝居として公演していた舞台版をデニーロが観て惚れ込み、デニーロとパルミンテリの共同脚本のもと映画化したらしい。デニーロはこの作品にかなり熱心に取り組んでいて、自身の作品に強い拘りを抱くパルミンテリの脚本を尊重しつつ、この作品を仕上げた。今でもブロードウェイに掛かるミュージカル版はデニーロ演出のもと公演しているらしい。パルミンテリはこの作品のヒットにより、食えない一俳優からスターの座を得たらしい。18人もの人物を一人芝居でやったのか。凄いなパルミンテリ。

イタリア系とアフリカ系が対立しあうブロンクスの下町で生まれたカロジェロ少年が、貧しいながらも堅気のバス運転手として家族を支える実の父(ロバートデニーロ)と、とある事件をきっかけに知己を得たマフィアのボス(チャズ・パルミンテリ)の二人から教えを受けて成長していく、異色の青春物語。
「ウエストサイド物語」よろしく、イタリア系とアフリカ系という人種間で悪ガキグループが対立する中、敵対するグループ(人種)の少女を好きになってしまい…という筋。

二人の「父親」がアプローチはまるで真逆ながらも、カロジェロに人生で大事なことは何か?ということを惜しみなく、愛をもって教える。

ラストシーンにおけるデニーロの「嫌ってないよ…ただ、あんたは息子を早く大人にしすぎた」…良い台詞だなあこれ。

青年期の息子、カロジェロ役を演じるリロ・ブランカトーは面差しもなんとなく父親役のデニーロに似てて、演技はまだ初々しいがこの後活躍してるんじゃないか…と思って調べたら強盗未遂事件を起こして(共犯者は警官を撃って殺害)服役したって…何やってんだよ。ガッカリだよ…。
クシーくん

クシーくん