ハレルヤ

ある子供のハレルヤのレビュー・感想・評価

ある子供(2005年製作の映画)
3.7
20歳のブリュノ。恋人である18歳のソニアとの間に子供が産まれるも、本人には親としての実感はない。大人になり切れない彼の姿を鋭い切り口で描いた物語。

監督はダルデンヌ兄弟。この作品の前にあたる「息子のまなざし」がかなり胸に迫る内容だったので、本作も当然期待して鑑賞しました。

まともな職に就かず盗品を売って、その日暮らしの生活を送るブリュノ。子供が出来たことでソニアから真面目に仕事をしてほしいという願いも聞き入れず、チンピラ同然の毎日を過ごす始末。

父親としての自覚も全く無いどころか、挙げ句の果てに子供を養子として売り飛ばしてしまう事態に。後で取り戻すもこの件でソニアから完全に愛想を尽かされて、状況は一気に悪化の一途。

端から見たらそりゃ自業自得だし、平気で悪事を働くブリュノのこの体たらくを見ていたら腹立つことばかり。彼のバックグラウンドはあまり描かれていませんが、働くことの大切さも人を愛することも知らないまま20歳になり、そして親になってしまったのでしょう。

次第に自分のしてきた事に後悔の念を抱き、涙を流したラストの後はどうなるのか。あの場面で終わらせて、その先は観客の解釈に委ねるのもダルデンヌ兄弟監督らしさが出ています。

決して明るい映画ではありませんし、エンタメ的な要素も全くありません。精神的に未熟な若者の日常を切り取ったような作風。リアリティのある雰囲気で映画というのも忘れてしまいそうなほど。そういう映画が好きならばお勧めします。
ハレルヤ

ハレルヤ