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ある子供のabsslgのネタバレレビュー・内容・結末

ある子供(2005年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

« l'enfant »ってジミーのことである以上にブリュノーのことなんですね。これは彼の物語なんだな。子供を売り飛ばしたあと「また作ればいいじゃん」とぬかし息をするように嘘をつくブリュノーはまぎれもないアホ&クズ・オブ・ザ・イヤーだが、たぶん誰からも大事にされず自尊心を育てられずに大きくなってしまった「子供」なのだから哀れな面もある、という描き方。おそらくスティーヴも数年前のブリュノーのようなもの。出頭して以降のブリュノーに、負の再生産を断ち切るかすかな希望を見出せるのか。
 『ロゼッタ』もそうだったが、交通量が多くてスピードを出している車ばかりの幹線道路を登場人物たちが危なっかしく渡る姿が、厳しい社会の中をどうにか泳ぎ渡る若者を象徴しているようで辛い。
 舞台はリエージュ近郊のスラン。バスで、徒歩で、空っぽの乳母車を押して、何度も橋を渡るブリュノーの姿が記憶に残る。
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