yukihiro084

ブロードキャスト・ニュースのyukihiro084のレビュー・感想・評価

4.8
実はずっと、誰か言わないかな〜って、
待ち続けている(瞬間)がある。

呑み屋さんで、映画の話をしている時、
特に近い世代の人と話す時、例えば僕は
タイミングを見て、出来るだけさりげなく
『好きな作品何ですか?』って聞く。
例えば(ミッドナイト・ラン)や
(ナイト・オン・ザ・プラネット)とか
タイトルが出てきて、そのつど、僕は
『いいっすよね、アレ』と笑顔になる。
同志発見!と、上機嫌になる。
でも、いつか誰か言わないだろうか?と、
毎回、小さく期待している作品がある。

『ブロードキャスト・ニュース』って。

そしたら僕はいつも以上に饒舌になる
だろう。いきなり立ち上がって、
相手に握手を求めたりするかもしれない。
『いいっすよね、アレ!!!』と
声が上ずってしまうかもしれない。
面白かったですよねって、
3人とも良かったですよねって、
さらに畳み掛けるかもしれない。
ひと言多いホリーハンターも
人たらしのウィリアム・ハートも
良かったけど、残念な感じの
アルバート・ブルックス最高でしたよね。
さらにさらに喋り続けるかもしれない。

テレビ局のニュース番組を作る
敏腕プロデューサーの女性と、彼女の
相方のレポーター兼ライターの男の前に、
教養も知識もないけど、顔だけはいい
新入りが現れる。
才能はあって頼りになるのに、
男としては見てもらえない男と、
頭は悪いが、ハンサムで人受けもいい
人たらしの男との三角関係を軸に、
本番ギリギリまで、バタバタしながら、
最高の、もしくは正しいニュースを
届けようとするニュース番組の裏側の
人々を描く。その描写が素晴らしい。

前年にオスカーを獲ったばかりの
ウィリアム・ハートと
この後、オールウェイズでも好演する
ホリー・ハンターがとにかく魅力的だ。

愛と追憶の日々でオスカーを
総ナメにして、恋愛小説家でも
主演2人にオスカーをもたらし、
最近ではスウィート17モンスターを
プロディースしたジョームズ・L・
ブルックスが監督した今作は、
危険な情事やアンタッチャブルや
ラストエンペラーなどある中でも
その年のベストと思えるほどの出来栄え
だったと思う。少なくとも僕は、
最高に面白かった記憶しかない。

3人のユニークなキャラクターの
素晴らしさと、それを3人とも見事に
演じていて、面白かった。
ジェームズ・L・ブルックスが描き出す、
人間の滑稽さ、愚かさ。悲喜劇。
嫉妬、才能、運、矜持。
うまくいかない、なるせなさ。

そして、ニュースのプロである
彼女らと、それを支える周りのスタッフの
チームプレーは、観ていて本当に楽しい。

僕が映画を観始めた頃に出会い、
映画って面白れーって思わせてくれた
忘れられない一本です。

だから、いつか聞きたい。
『ブロードキャスト・ニュース』って。

そしたら僕はきっと、
情熱的なハグをするかもしれない。
yukihiro084

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