YYamada

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のYYamadaのレビュー・感想・評価

4.2
どちらが傑作?
【アナザー・バージョンの作品たち】

◆比較作品
・1989年『ニュー・シネマ・パラダイス』
 インターナショナル版 (123分)
・1991年『ニュー・シネマ・パラダイス』
 完全オリジナル版 (173分)

◆オリジナルとの相違点
インターナショナル版に対し、以下の約51分・60カットを追加
・主人公トトの童貞喪失シーンなど、パラダイス座とトトの少年・青年時代のエピソードを追加。
・壮年期のサルバトーレ(トト)による帰郷シーンが大幅追加。エレナとの再会により、別離の真相が分かる。

〈見処〉
①製作背景
・当時33歳の青年監督ジュゼッペ・トルナトーレが、長編2作目の監督作となる本作で描きたかったのは、170分超にも及ぶ完全版 (170分)。しかしながら、興行面で妥協しなければならず、1988年にイタリアで劇場初公開されたのは、上記2バージョンの中間ともいえる155分の「オリジナル版」だった。
・しかしながら、詰め込みすぎたその内容から興行成績が振るわず、海外上映に向けて、トルナトーレ自身がいくつかのラブシーンやエレナとの後日談をカットした124分に短縮されたインターナショナル版が公開され、成功を収めた。
・海外での成功を受け、トルナトーレが真に描きたかったエピソードを追加した、173分の完全オリジナル版を1991年にリリース。日本では、当初公開されたインターナショナル版の大ヒットの記憶に新しく、映画ファンにより「どちらのバージョンが優れているか」の素人論争が巻き起こったことを記憶している。

②結び…本作の見処は?
「蛇足」か「真の物語」か?
2つのバージョンでは、映画史に残るラストシーンの解釈が変わるほど、映画の主題が大きく異なっている。

◎: 壮年期に再会したエレナの回想により、映画技師アルフレードによる、トトへの思いと、エレナに対する再燃する思いが加わり、サルバトーレ(トト)の郷愁が重厚に描かれている。
▲: 壮年期のシーンを除き、インターナショナル版から加えられたエピソードは、カットされて已む無しのものが多い。

〈比較評価〉
インターナショナル版の圧勝
・短縮されたインターナショナル版は、恋愛要素を最小限とし「パラダイス座」と自身の映画愛を焦点にあてる。
・一方、長尺の完全オリジナル版は、過去の出来事が明らかになったことにより、サルバトーレ(トト)が自身の人生を振り返る点が加わっている。
・映画ファンとして、また、最初に鑑賞してバージョンに愛着が強いため、超独断的ながら「インターナショナル版」の圧勝と評価します。(恋愛映画が好きな方、順番を逆に鑑賞した方は評価が変わると思います)

〈インターナショナル版レビュー〉
https://filmarks.com/movies/27515/reviews/87716035 #Filmarks #映画 #ニューシネマパラダイス
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