赤鬼

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版の赤鬼のレビュー・感想・評価

4.2
改めて劇場公開版と比較して観るとどこをカットしたのかも理解出来、2時間版と3時間版其々に"ニューシネマパラダイス"の魅力があるのだなと実感し、製作側は利益を回収しなきゃだし、制作側は良い作品を作りたいし、そう言う攻防を少なからず感じさせるものがありました。
トトの人生を考えると残酷かも知れないがアルフレードの選択を尊重したい自分がいるけど、トトからしたら自分で選んだ選択だと思っていたのが実は他人に決められてたと知るのは良い気分では無い。そう言う愛と一言では言えないお節介を、劇場公開版では"全てを凌駕する血の繋がりでは計り知れない親から子への真実の愛"で総括されてる印象があったけど、完全版は"やられた感"と言うか、いつまでも2人の関係が続いてて笑い合ってる雰囲気が伝わって来て、人生の悲哀を経験したからこそ許せる感じがして、より心に残るラストだった。
父のようなアルフレード、永遠のミューズであるエレナ、そしてモリコーネの執拗過ぎるくらいのメロディ、全て大人になったサルヴァトーレの頭の中でしか再生されない映像から、老いた現在に変わる事で時の流れを表して、もう戻れないからこそ美しい過去を振り返れる。
トトに憎まれても彼の未来を成功されたい思いと、アルフレードに認められたい思いと、両方とも感じられて素晴らしかった。
赤鬼

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