ろーたす

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のろーたすのレビュー・感想・評価

4.0
トトとアルフレードの信頼関係も、パラダイス座で描かれる当時の時代背景の移ろいも全て響きました。完全オリジナル版にてこの作品を初鑑賞したので、そのファーストインプレッションをドバッと書き残しました。


かつてトトとエレナが離れ、別れてしまったのはアルフレードの助言によるものだったと30年越しに明らかになります。
しかし、果たしてトトが町から離れてしまわなければ、若い彼らの大恋愛は無事に実っていたか。
階級差別による自由恋愛の制限や革命の過渡期であった第2次世界大戦下。
彼らを別れさせたのはこの時代なのだとも思えます。

アルフレードが失明をしてしまってから後に出来上がった不燃性のフィルム。
「時代の進歩は遅すぎる」
これから先の技術革命において、当時の映写機もいつか時代遅れとなり廃れる。
そもそも、映画が町で唯一の娯楽である時代も終わりがあるかもしれない。
(テレビ、ビデオの普及により閉館したパラダイス)
そんな先まで彼は見えていた。
だからこそ、ローマへ行け。そこで才能を磨け。
映画技師を続けて、フィルムカメラで撮影して生活し、幼い頃からずっと映画を愛していたトトの才能を見抜き、彼の背中を押したアルフレードの親心とも言える心情を随所に感じました。

だからこそ、ラストのアルフレードからトトへ贈られた繋ぎ合わせたキスシーン。
彼はエレナとの恋愛を応援していなかった訳ではなく、ローマへ旅立つ彼を突き放した訳でもなかった。
全ての行動が彼の成功を誰よりも想っていたからこそだった。
検閲により作中で結ばれなかった多くの恋人たち、そしてトトとエレナの切り裂かれた愛を埋め合わせるようにして映し出されるそのムービーには涙が出ました。


この作品のテーマとしてトトとアルフレードの2人に焦点を当てるのなら、30年後のエレナとの再会は余計だった気もする。フォーカスがぶれるから。
かつて切り裂かれた愛はラストの贈り物により紡がれているし。
①アルフレードとの唯一無二の関係。
②母親の無性の愛。
③エレナとの愛
と3本柱じゃなくとも、①の大黒柱だけで勝負出来る。そのポテンシャルは怪物級なんだから、そこだけ強く見せれば良いと思った。
そうゆう理由で劇場版がベストかなーと思う。
5.0をつけたい内容ですが、その点で評価を下げました。
いつか必ず劇場版を観たいです。
ろーたす

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