tetsu

ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版のtetsuのレビュー・感想・評価

5.0
リバイバル上映に合わせて鑑賞。

人生最大のすれ違いによって、運命が変わってしまった1組の男女。
彼らの過去に隠された衝撃の事実と、初老の映写技師・アルフレードが守り続けた"ある秘密"が明らかになる完全版。
公開版でカットされた50分が追加されたことで、物語は思わぬ展開へ。

映画は幻想だ。

そこに映し出されるものは、
観客の人生にとって、
あくまで虚構でしかない。

それは時に救いになるが、
場合によっては、立ち向かうべき現実から逃れることにも繋がる。

僕は映画を観ることで失われた存在や、戻ることの出来ない時間にすがりついている。

つまり、映画に依存している。
ノスタルジーに身を委ねている。

しかし、本作において、
ノスタルジーは破壊される。

郷愁の気持ちに揺れ動く青年・トトに、
アルフレードは言う。
「人生はお前が見た映画とは違う。」
「ノスタルジーに惑わされるな。」

人はいつか死ぬ。

だからこそ、過去や虚構に依存し続けてはならない。

残された者に課せられたのは、
前に進むことだ。

「現実から目を背けるな」
「自分の人生を進め」
本作からは、そんなことを教えられた気がする。
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