リバイバル上映に合わせて鑑賞。
人生最大のすれ違いによって、運命が変わってしまった1組の男女。
彼らの過去に隠された衝撃の事実と、初老の映写技師・アルフレードが守り続けた"ある秘密"が明らかになる完全版。
公開版でカットされた50分が追加されたことで、物語は思わぬ展開へ。
映画は幻想だ。
そこに映し出されるものは、
観客の人生にとって、
あくまで虚構でしかない。
それは時に救いになるが、
場合によっては、立ち向かうべき現実から逃れることにも繋がる。
僕は映画を観ることで失われた存在や、戻ることの出来ない時間にすがりついている。
つまり、映画に依存している。
ノスタルジーに身を委ねている。
しかし、本作において、
ノスタルジーは破壊される。
郷愁の気持ちに揺れ動く青年・トトに、
アルフレードは言う。
「人生はお前が見た映画とは違う。」
「ノスタルジーに惑わされるな。」
人はいつか死ぬ。
だからこそ、過去や虚構に依存し続けてはならない。
残された者に課せられたのは、
前に進むことだ。
「現実から目を背けるな」
「自分の人生を進め」
本作からは、そんなことを教えられた気がする。