スズキ

光る女のスズキのレビュー・感想・評価

光る女(1987年製作の映画)
1.0
まさか自分が相米作品に1点をつける日が来るとは思わなかった。

興行的な大失敗作と事前に聞いていたのでハードルをかなり下げて見たけど、それでも面白くなかった。

『有田ジェネレーション』という深夜のお笑い番組がある。

この番組の特徴は、普通のテレビには出てこないようなアングラ芸人が出てくるところ。アングラ芸人を見ていると、とにかく何を言っているのかわからない、何を伝えたいのかわからないという基本的なところで自分のやっていることを理解できていないことがアングラさの所以なのだなと感じる(その伝わらなさが面白いアングラ芸人が出続けているのだが)。

この映画も同じに見える。
相米の、ストーリーを語らないことの限界が出てしまっているし、役者に寄るショットが少ないので誰が誰なのか分かりにくい。しかもなぜか映画なのに舞台的な表現が多くて窮屈。基本的なところで映画的な快楽を捨て去ってしまっているように見える。

冒頭のシーンは、荒れ果てた都市とビル群なので、当時なりの文明論批判みたいなことが描きたかったのかもしれないけど、今見てもよくわからない。

そもそもなぜプロレスで、なぜ武藤敬司だったんだろう。やたらと男同士の体が密着するので、もしこれが海外の作品なら、監督はゲイでそのセクシュアリティを表現したものと解釈したと思う。実際のところはよくわからない。

相米作品を最初に見るならダントツで『東京上空いらっしゃいませ』をオススメするけど、この作品の失敗があったからこそ、あそこまでポップに振り切った作品が作られたのだろうな。

初めて見る相米作品がこれ、という人が1人も出ませんように。
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