カツマ

クローバーフィールド/HAKAISHAのカツマのレビュー・感想・評価

4.0
秘密にされればされるほど人間とは知りたくなる生き物なのだろう。好奇心という名の欲求の背中をポンっと押されたら最後、バタバタとJ.J.エイブラムスの術中にハマっていき、結果的に世界中でメガヒットを記録してしまうのだから、秘密の持つ伝染力の恐ろしさを痛感させられた映画である。

だが、その秘密の蓋を開けてみたら、そこには異形のパニックスリラーという名の化け物が巨大な口を開けて待っていた。ホームビデオ風の手持ちカメラでの撮影が功を奏し、まるで疑似体験しているかのような圧倒的没入感がこの映画最大の魅力だと思う。すでに撮られた映像をカメラ越しに見ているというファウンド・フッテージ作品としての側面もあり、現場にいるように見せながら、気付けば傍観者だったという二重構造のトリックも非常に面白かった。

〜あらすじ〜

そこはニューヨークのとあるパーティー会場。日本への栄転が決まったロブは、兄や友人たちからサプライズでパーティーを祝われ、宴はたくさんの参加者で賑わっていた。だが、ロブはというと恋人のベスと転勤も近いというのにパーティー会場の隅で痴話喧嘩を始める始末で、ベスは結局パーティー会場を出ていってしまう。その様子をロブの友人ハッドはビデオカメラで撮影していたが、その画面が突然大きく揺れた。
外では爆発音が鳴り響き、悲鳴が四方八方から降ってくる!果たしてなにが起きたのか。ロブと友人たちは何とか会場から逃げ延び、マンハッタン橋へと辿り着くが、そこで信じられない物体に遭遇することになり・・。

もう語られ尽くしているこの映画。実体は相当オタク臭の強い怪獣映画だ。シンゴジラのような風刺映画としても機能しそうだが、J.J.はこの映画をピュアな怪獣映画として世に放ちたかったと言及しているそうだ。キャスト陣はリアリティを出すために、有名俳優を使っていないが、ハッド役のT.J.ミラーのようにこの映画からブレイクしていったタレントも存在している。

原因不明の災厄に見舞われるという設定も撮影方法も妙にリアリティがあって、半ドキュメンタリー作品を見ているかのような現実視点の怖さに戦慄する作品だ。
果たして自分はこんな状況に置かれたら、登場人物たちのように正常でいることが出来るのか。とりあえず橋を渡ることだけはやめておこうかと思った(笑)

〜おまけ〜

クローバーフィールドシリーズはすでに3作目まで発表されているが、実は4作目も待機中とのことです。すでに秘密では無くなったクローバーフィールドをどのような透明色に染めていくのか。J.J.の新たな仕掛けにも注目していきたいと思いますね。
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