megusuke

ギャング・オブ・ニューヨークのmegusukeのレビュー・感想・評価

3.5
幾重ものテーマが奏でる、19世紀アメリカ凝縮お勉強娯楽映画。

この作品公開前の大宣伝はもの凄かった。タイタニックで大ブレイクしたディカプリオ押し!第二のタイタニックを狙った様な宣伝文句だったけど、公開後あんまり盛り上がってなかった記憶があり
ちょっと敬遠してたのだけど…

物凄い意欲ある大作でびっくりした!

人種、宗教、世代や時代の流れこらの価値観の違いでいざこざしながらの、復讐劇+家族愛+ギャング要素におまけで恋愛。
更にモブ含む登場人物達の、今に対するヘイトが積りに積もってからの、クライマックスの暴動と決闘合わせ技の感情大爆発の流れが、時代の変革を物語っていて良い!
説明的な台詞や時代背景の補足が一切入らず、展開と演技から人物の心の揺れやどういう立ち位置の人間なのかとかを感じていくタイプの作品で、頭使うけどそれも良い!
国が違って事情に明るくない+邦画と魅せ方やらが違うから、悲しいがこれは日本では受けないよなぁ。
スコセッシ監督がこの作品に込めたモノ全部は、私にはとても分からないが
敵対してる者達が信仰しているモノは、元を辿れば同じ神様で、どの陣営も見守っていたり
国の為に動くギャングと、父の復讐の為に動くギャングの価値観の違いだったり
復讐と家族愛の狭間で揺れる男とファミリーのドンと親心の間で揺れまくる男のかけあい
なんかは、凄くグッとくるものがあった。
って感じで、凄く真面目なんだけど、史実の出来事なんかを上手くミックスしたり、余分なものは省いたりして、娯楽要素も出す配慮(?)がされている。
それがたまに、メッセージ性とぶつかっちゃって、中途半端な感じになっちゃってるのが惜しい。(顕著なのは、クライマックスの決闘の決着のつけ方。個人的に最後U2の曲に乗せたエンドクレジット中の映像もなんかしっくりこなかった)

物凄く色んなもののレベルは高いのは間違いないけれど、手放しで褒めにくい映画でした。
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